「木の文化」とは? (2)

北米から輸入される木材に「SPF」と呼ばれる材がありますが、これは「スブルース」、「パイン」、「ファー」の略称です。しかも、北米のスブルースといっても、ホワイトスプルース、エンゲルマンスプルース、シトカスブルースなどがありますし、パインもレッドパイン、ロッジポールパイン、ポンデローサパイン、シュガーパインなどがあります。ファーに至ってはダグラスファー、バルサムファー、ホワイトファー、ノーブルファーなど、なんとかファーというものは多く、さらに種類は多岐に渡ります。
この中でシトカスプルースとダグラスファー、ノーブルファーがSPF材に混ざることは、あまりありません。これら樹種とも別に販売した方が高く売れるからです。ノーブル(高貴な)ファーはその名の通り樹木の美しい形状から、最高級のクリスマスツリーとして珍重されています。
SPFとは単一の樹種を指すのではなく、上記のように強度の近い多種多様な樹種が混ざって流通しています。日本では考えられないことで、モミ、サワラ、スギの強度が近いからと言って、MSSなどと名付けられた材が出回ることはありません。モミはモミ、サワラはサワラ、スギはスギであり、日本では樹種の違いへのこだわりが極めて強いです。
これは樹種によりその特性に合わせた使い方がされてきたためで、木の香りが殆どないモミは、食品に臭いが移っては困るカマボコ板などに、水に強く軽いサワラはお風呂の桶や手桶、スギは抗菌成分が強く自分自身だけではなく、その香りによりスギで作られた箱に大切なものを保管すれば永く保存できます。正倉院の建物はヒノキですが、中の収容物はスギの箱に入れられたため、1200年もの間、収納された品は守られてきました。
(続く)